緊急時に自動ドアを全開放!パニックオープンについて徹底解説

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緊急時に自動ドアを全開放!パニックオープンについて徹底解説

更新日:2023/06/06

地震をはじめ台風や豪雨、噴火など、さまざまな災害を受けやすい日本国内では災害の対策と災害についての意識を高めることが必要です。

災害に対する備えについては国が主となって進めていますが、国だけではなく、企業や国民一人ひとりが、災害についての備えを持つことが必要です。

その中で、災害発生時、電気やガス、水道をはじめとしたライフラインが絶たれ、自動ドアは固く閉ざされて開かなくなるのでは……と考えてしまう方も少なくありません。

非常時に自動ドアはパニックオープンやパニッククローズといった動作をして人命を救うこともあります。このページではパニックオープンとは何か?といった点に注目してご紹介します。

パニックオープン(非常時開放システム)とは?

パニックオープンは「非常時開放システム」とも呼ばれており、災害があった際の非常時に、施錠されている自動ドアが自動で解錠し、ドアが開放された状態に保つシステムを指します。

パニックオープンは、地震や火災などの災害が発生すると、地震や火炎、煙を感知する機器が作動し、連動盛業板に電気信号が送られ、自動ドアの制御コントローラーに伝わり、パニックオープンのシステムが作動する、という仕組みです。

このシステムを導入すると、災害発生時に自動ドアが開放されているため、スムーズな避難を可能にし、逃げ遅れのリスクを低下させ、結果的に怪我人や死者を減らすことに役立ちます

パニックオープンはなぜ必要なのか

コンビニやスーパー、病院などの商業施設や企業などでは、自動ドアの利用者が多く、多くの自動ドアがある通路は、避難経路として使われるでしょう。

ところが、災害になり非常事態になり、施設などで火災が起きたり、停電になったりすると、とにかくその場から逃げようとします。ですが、避難経路で自動ドアが閉じた状態でいると、逃げ遅れてしまい、扉の前で渋滞が起き、人が押し合って転倒することや最悪の場合、逃げ遅れてしまうことになりかねません。

そのような危険を回避するためのシステムがパニックオープンです。

避難経路の自動ドアが全て開放されていれば、避難する人はスムーズに避難できるだけではなく、救助に駆けつけた消防隊員の方なども、出入りしやすいため一人でも多くの人が助かるという結果につながります。

パニックオープンは災害時には非常に有効性の高い優れたシステムであることがお分かりいただけたでしょうか?人の出入りが多い自動ドアや、避難経路にある自動ドアには、パニックオープンの導入を検討することをオススメします。

パニッククローズ(自動閉鎖システム)とは?

パニックオープンと似たようなシステムにパニッククローズがあります。

パニッククローズは「自動閉鎖システム」とも呼ばれ、火災報知機が感知することで、信号がシステム制御部に伝わり、自動ドアの電源が落ち、手動で開かないようドアを閉鎖し、火災・煙の拡大を防止する、という仕組みです。役割としては、防火、煙を防ぐということが挙げられます。

パニッククローズはどんな時に必要?

パニックオープンは、非常時に自動ドアが開放した状態を保ちますが、パニッククローズは閉鎖します。これだけ聞くと、逃げ道が塞がって避難できず「危険ではないか」と思われるかもしれません。

しかし、これは消防法で決められている事で、「延焼防止」という観点でドアを締め切ることで隣の部屋や近隣の建物などへの「燃え移り」を防ぐためにあります。

強制的に閉鎖状態にあるパニッククローズが機能することで、火が建物に回るまでの時間がかかるので、人命のみならず、建物の保護にもつながります。

また、パニッククローズの自動ドアには、よく見ると誘導灯が付いていません。つまり、避難経路ではないという意味になります。

非常時にパニックに陥らないためには

ここまでパニックオープンとパニッククローズについてご紹介しましたが、実際に災害が発生した場合、焦りや不安、恐怖などでパニックに陥る人が大半でしょう。

パニッククローズについては、自動ドアに対し、非常時にボタンを押しても開かないことや手動で開かないということで学校や職場など、その施設にいる人に対しての周知は必要ですが、いざ災害が発生したときには近いドアから避難するため、閉鎖しているドアへ向かうということも考えられます。

避難時に冷静でいるためには、まずは避難経路を知っておきましょう。

パニックオープン、パニッククローズはどのような基準にて導入されているのでしょうか?

パニックオープンは、避難経路上に設置されている自動ドアはパニックオープンによって開放されるようになっています。

避難経路外で設置されている自動ドアは、延焼防止のパニッククローズや、防火シャッターがおりるなどで被害の拡大を防止します。

また、誘導灯に関しては

・通路誘導標識(全体が白で緑線の絵)

避難口の誘導する廊下などの経路を示す。

・避難口誘導灯(全体が緑で白抜きの絵)

避難口の最終避難口である場所を示す

となっています。知識として知っておくことで、冷静で行動できるようになるはずですので、確認しておきましょう。

災害について対策しよう

災害時は事前にくることがわからず日頃からの意識と対策が必要になります。

実際に災害が起きた際にはどのような方法が有効なのかを知識として知っておくだけでも、いざ災害が来たときにスムーズに行動できます。

パニックオープンやパニッククローズのシステムが作動しないほど自動ドアが損傷している場合には、身の安全の確保の上、自動ドアの電源を切ることや、手動で開放するようにするなどしておきましょう。

また、自動ドアの変形やドアの脱輪などで脱出できない場合には「バール」「ハンマー」などを用意しドアを破壊して脱出できるようにしましょう。これは開口部だけではなく、バールでは障害物を持ち上げ、ハンマーで障害物を破壊でき、危機から逃れられる可能性が高くなります。

パニックオープンやパニッククローズは、システムとしては非常に優れていますが、それに頼るだけではなく、自分地震でも災害に対する意識が大切です。

防災備蓄なども職場や家庭などにも十分用意してください。

自動ドアの定期点検を必ずやっておこう

建築基準法という法律によって、建物の維持保全に関し「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定めています。

自動ドアも例外ではなく、建築保全業務共通仕様書や防災設備の定期検査制度、全国自動ドア協会(JADA)による自動ドア保守基準といったさまざまな基準項目による点検を義務としています。

その自動ドアの点検の中に「パニックオープンの仕様」「パニッククローズの仕様」の項目があります。

自動ドアを扱っている建物の所有者や管理者は自動ドアの点検は必ず定期的に行うようにしましょう。

まとめ

ここまで、パニックオープンについてご紹介しました。パニックオープンは、非常時にドアが開放の状態を維持し、避難経路を確保する有効性の高いシステムでした。

いざ災害が来た際には、パニックになってしまい近いドアから避難してしまいがちですが、誘導標識の違いを知っておくことで、どこに避難したら良いのか?という問題は、どの施設でも同じです。また、パニックオープン、パニッククローズともに自動ドア導入時にオプションとして導入することができますので、メーカーの方に相談してみましょう。

これらのシステムを安全に利用するためには、定期的な点検やメンテナンスは欠かせません。

もし、不具合や異常が見られるのであれば、プロの修理業者などに連絡をするようにしましょう。

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天田 聡

大手の自動ドアメーカーを経て現職へ。Web担当ではありますが現場仕事も大好き。趣味は猫カフェ巡り。

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