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【図解】自動ドアの構造と各部名称を解説
- 更新日:2023/05/31
自動ドアの各部名称をまとめました。業者やメーカーによって呼び方が異なる場合がありますが、普通の自動ドア修理業者であればどれか言えばどの部分かわかります。自動ドアの修理を依頼する際、故障の症状を伝えるときにでも参考にしてください。
目次
自動ドアとは?
そもそも自動ドアは、手動でドアの開閉を行うものを電気などの動力で自動で行うドアのことで、このページで扱う自動ドアは公共施設の出入り口の扉や、ビルなどの扉に設置されている人や物などが近づいた際にそれを自動的に検知し、扉を開き、扉の中に人や物がないことを確認して扉を閉じる仕組みを持つドアについて扱います。
国内のタクシーのように、自動で車のドアが開くものもあり、それを自動ドアと呼ぶ場合もあります。
自動ドアがあることによって両手がふさがっている状態でも通行することができ、高齢者や障がい者など、多くの人が利用する施設などではなくてはならないドアとなっています。
環境的な観点では、ドアが解放状態にならないことによって外気を取り込むことを防げますので、省エネルギーにも貢献します。
エンジン(ドアエンジン)
エンジンは自動ドアの開閉動作に際して直接作動する動力装置です。現在多くの自動ドアに使われているのは電気モーターを動力としています。
エンジンは、コントローラー(制御装置)、動作のために必要なモーターとベルト、ドアの走行に必要なレールとプーリーから構成されており、エンジンはドアの上部にあるケースに格納されています。
重いドアをスムーズに開けたり、危険な場合は即座に止めるだけのパワーと反応速度を持っています。現在のエンジンはたとえセンサーが何も検知していなくても、モーターに負荷があると「何かを挟んだ」と判断してコントローラーがドアの動きを止めてくれます。そのため自動ドアに誤って挟まれて怪我をするということがないように非常に安全面をきにして設計されています。
コントローラー(制御装置)
自動ドアの頭脳です。センサーやモーターと繋がっており、センサーからの信号でモーターに開信号を出します。抵抗を検知して安全確保の動作を行う装置です。コントローラーはドアの移動距離を覚えており、開くときも閉じるときも安全を確保できるよう、はじめ – 途中 – 終わり でモーターの速度を微調整しています。
またセンサーやモーターが危険を察知した場合は、ただちにドアを開きます。
モーター
モーターは、開閉する際の動力になる部品で、重たいドアを開ける、閉じかけたドアを停止する、という重要な部品となります。
人や物を検知するセンサーが反応しない場合、モーターに何か挟まるなどで負荷がかかった場合「何かを挟んだ」と判断し、コントローラーへそれを伝え、ドアの動きを停止させます。
ガイドプーリ(戸車)
ドアがレールを走るためのタイヤに当たる部品です。ガイドプーリの上部はベルトに接続され、下部にはドア本体が吊り下げられています。非常に硬い樹脂で作られています。スムーズな動作にはかかせない部品ですが、5年、10年と使い続けると劣化や割れが発生しやすくなり、ベルトとガイドプーリは自動ドアにおいて消耗品という位置づけになっており、定期的(5年から10年)に交換することが推奨されています。ただなにもしないでも15年以上元気に動く自動ドアもあるのも事実なのでその辺りはユーザーの方の判断に任されます。
ベルト(タイミングベルト)
ゴムや金属線、樹脂などをサンドイッチのように挟んで作られており、簡単には切れません。モーターの回転をドアに伝える働きをします。こちらは摩擦で徐々に劣化していきます。開閉の回数にもよりますが10年程度使用したら一度交換を検討しても良いかもしれません。
センサー(光電スイッチorタッチスイッチ)
センサーには扉を通過する人を検知し、コントローラー(制御装置)へ信号を送り、ドアエンジン、減速機がタイミングベルト、ガイドプーリを動かして扉を開きます。センサーはメーカーの自動ドアの使用条件によって、どんな装置を使うのか異なります。
開閉方法は、光電スイッチ(センサー)タイプと、タッチスイッチのタイプに分かれます
起動センサー
起動センサーは扉を開くために使われるセンサーとなります。開閉方式には近づくだけで自動ドアが開く光電スイッチと、ボタンを押すことによって自動ドアが開くタッチスイッチの2種類があります。
光電スイッチ
自動ドアの目となり、人の接近を感知するのがセンサーです。自ら光線を出し床からの反射を読み込み、その光軸に物体が侵入することで、検知信号を出すものが主流で、サッシの上部や天井等、ドアの上から周囲を見張っています。センサーが通行を検知すると、コントローラーがドアを開閉します。この間も見張りを続けているので、ドアの周囲で立ち止まったとしても、センサーに検知されている間はドアが閉まってくることはありません。
タッチスイッチ
人が押した場合のみドアを開けるスイッチです。周囲の人通りが多い場所や工場内など、無駄な開閉を防ぐ際に使用します。ドアの開閉中の安全確保のため、センサーと併用されることが殆どとなります。この場合センサーはドアを開けず、タッチスイッチによってドアが開閉する間のみ安全確保のために作動します(開時作動)。工場などでは、天井から下がった紐を引くプルスイッチや、金属の接近を検出できるマイクロウェーブ式のセンサーを導入される事例もございます。
補助光電センサー(安全光線)
ドア自身の動きをセンサーが検知してしまわないように、ドアの軌道付近はセンサーの検出範囲から外れています。この僅かな隙間の安全を確保するのが補助光電センサーです。
光電スイッチ
光線(赤外線)を「発する側」と「受ける側」でペアになっています。ペアの間の光線が遮られると、コントローラーはドアの軌道に何かがあると判断し、閉じる動作から開く動作に反転します。自動ドアのサッシを見ると、腰から膝のあたりに黒色のレンズのようなものが左右ペアで付いていますが、これが補助光電センサーです。
光線反射
自動ドアの上部に設置された装置から赤外線センサーが反射して人を検知している間、自動ドアが閉じない仕組みです。
閉じている途中に検知すると、閉じる動作から開く動作に反転します。自動ドアの上部を見ると、黒いレンズのようなものが付いているはずです。
ガイドレール
ドアの最下部にある溝です。ドアの下に付いている「振止め(ふれどめ)」と呼ばれるパーツがガイドレール内に入っており、ドアが外れたり、軌道の外に飛び出ないように押さえています。ゴミの溜まりやすい個所ですので、定期的に清掃して下さい。ゴミが溜まると、振止めが破損し開閉の抵抗となり様々な不具合が発生します。また凍結が起きるような場合はクーラント(不凍液)を使用することもあります。
ドア(扉)
自動ドアのドア(扉)にもさまざまな種類があり、その種類に応じた開閉タイプもあります。
1枚のドアが1方向に開くタイプのドアを「片引き」と呼び、2枚のドアが左右に開くタイプのドアを「両引き」と言います。
どちらの開閉方式でもエンジンはひとつで、モーターがまわることで、ベルトが上下逆方向へと進み、左右のドアを固定することで、同じ動きをすることができます。
その他、折り畳み開閉ドアの「折り戸」のタイプのものがあります。これは、開閉ドアの左右に戸袋スペースが不要なため、スペースの有効活用ができます。
建物内部と外部を遮断しながら通行できる「回転ドア」というタイプもあります。設置したいシチュエーションに合わせてみましょう。
鍵
通常のドアと同様、物理的に錠をかけることで、電源のON/OFFに関わらず施錠することが可能です。電気錠の場合はコントローラーと連動して設定した時刻になると物理的に鍵がかかる仕組みになります。
振れ止め
ガイドレールに取り付けてあるドアがガイドレールから外れないようにする部品です。樹脂で出来ており、長い間使用していると摩耗や破損することがあります。開閉時にカタカタ音が鳴るときは振れ止めの破損を疑いましょう。破損したまま開閉を続けていると開け閉めは出来ますがガイドレールの摩耗や摩擦による抵抗でモーターに負荷がかかるなど様々な箇所に影響を与えて大きな故障に繋がりますので注意しましょう。
【知っ得】自動ドア用語の名称と解説一覧!
框(かまち)
框は、ドアを構成する四方枠を示します。
無目(むめ)
無目は、自動ドアの開口部上部にあるドアエンジンを内蔵する枠の部分を指します。
一般的に無目の意味には建具用語で窓や上部の明かり取りの窓がついたドアの上下を仕切る部材を指します。
ブレークアウト機構
何かあった場合の有事の際に、ワンタッチで手動操作でドアを解放できる避難のためのもの
方立
開口部とガラスを仕切る枠を示します。
自動ドア施工技工士
自動ドア施工に関する国家資格で、自動ドア施工についての学科及び実技試験に合格した者を指します。
自動ドアが故障したときの修理費用は?
自動ドアの修理費用相場ですがメーカー、場所、故障個所、自動ドアの型式によって大きく変わるので簡単に説明することは難しいです。よく自動ドア修理のホームページには9800円~なんて書いてありますがそんなケースはレアで、実際の自動ドア修理の中央値は弊社で8万円くらいです。2020年ベースでのデータですが自動ドア修理は最低でも2万円、平均すると8万円程度は費用がかかると考えておきましょう。もちろん設置して1年はメーカー保証がつきますし、修理箇所についても1年は保証する業者が多いので保証が生きているうちは積極的に使いましょう。
下記に自動ドア修理の費用相場の詳細をまとめましたので参考にしてください。
自動ドアの不具合を防止するには
設置された自動ドアは、毎日開閉するほど使用頻度が高く、人の出入りの多い施設などでは1日でも非常に多い回数を稼働しています。
そのため、不具合が発生することも少なくありません。よくある不具合には「自動ドアが勝手に開閉する」
「ドアの動きが良くない」というものが挙げられます。
1つ目のよくある不具合には、ドア付近に傘立てなど何か置いていることや、センサーにゴミなどの異物の付着、汚れがあることでセンサーが検知できていないということが挙げられますので、しっかりとドア付近に物を置いていないか、センサーの汚れを確認しておきましょう。
2つ目のよくある不具合には、ガイドレールに異物が挟まっていることや、ゴミが詰まっていることが挙げられます。自動ドアは建物の入り口に設置されている場合外にさらされているため、空中に舞った砂やほこり、ゴミ、落ち葉などがガイドレールに詰まることによって動作不良を起こしてしまいます。定期的にガイドレールを清掃するようにしましょう。
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